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特別講演会「温泉と文学」を開催しました

特別講演会「温泉と文学」を開催しました

 IMG_9707.JPG2月26日(日)に、本学メディア教育・研究センターにて、芥川賞作家の玄月氏、吉村萬壱氏、藤野可織氏をお招きし、特別講演「温泉と文学」を開催しました。昨年1月に芥川賞作家の円城塔氏、坪内逍遥賞作家の福永信氏をゲストに招いた「温泉を読む×温泉を書く」に続く、"文学への誘い"シリーズ第2弾として行いました。芥川賞作家三氏が顔を揃える貴重な機会に、約200名の市民や文学ファンが訪れました。
 

 第1部では、ゲストの玄月氏、吉村氏、藤野氏と作家で本学講師の澤西祐典がコーディネータ―として登壇し、「作家と温泉」をテーマに語られました。ゲストの三氏は別府には初めて訪れたということで、三者三様のスタイルで別府入り。早朝に船で到着した吉村氏は、早速「海門寺温泉」で別府温泉を満喫。湯上りIMG_9748.JPGに、講演会のポスターが貼られていることを発見してびっくりしたエピソードを語ってくれました。玄月氏は、早割でお得だったことから飛行機を利用。別府駅前に"喫茶店"がなくて困ったことや、油屋熊八像にびっくりしたことなどを話されました。藤野氏は自宅の最寄駅からJRを利用して別府入り。新幹線と特急で4時間程度で着いたことが新たな発見だったことをお話いただきました。また、おんせん県の真ん中で言うのは心苦しいとしながらも「実は温泉(お風呂)が苦手」ということを告白されました。また、三氏それぞれから、これまで訪れた温泉地の話や、それぞれの執筆スタイルや書くことへの苦悩(⁉)など、作家の創作過程を垣間見ることができました。

 IMG_9715.JPG続く第2部では、「温泉で読みたい三冊」を紹介。
温泉にまつわるものから、ゴロゴロしながら読みたい本など、選書の理由はさまざまでしたが、どれも好奇心をくすぐられる本ばかり。来場した多くの方が、文学への楽しみを開眼させたようです。

 戦前、関西と航路で結ばれていた別府は、九州の玄関口として多くの作家が訪れており、温泉地・別府はさまざまな文学作品に登場していました。しかし現代は交通網の発達で別府と文学の関係が薄れてきました。今回はくしくも関西で活躍する小説家を迎えることとなり、別府と関西の接点の再構築する機会になったと思います。今後も、別府と文学を結びつける企画を開催していきます。

IMG_9784.JPG※玄月氏が温泉で読みたい三冊
・福岡伸一『生物と無生物のあいだ』
・谷崎潤一郎『陰影礼賛』
・江國香織『号泣する準備はできていた』

※吉村萬壱氏が温泉で読みたい三冊
・林芙美子『浮雲』
・西条八十『女妖記』
・つげ義春『新版 貧困旅行記』

※藤野可織氏が温泉で読みたい三冊
・トニー・パーカー『殺人者たちの午後』
・シャーリイ・ジャクスン『日時計』
・アン・ウォームズリー『プリズン・ブック・クラブ コリンズ・ベイ刑務所読書会の一年』

 

 

[投稿日:2017年3月23日]