戦略的研究基盤形成支援事業のお知らせ&トピックス
文部科学省 平成27年度「私立大学戦略的研究基盤形成支援事業」に採択されました。
「発酵王国大分が育む地域農水産物を活用した新規加工・発酵醸造食品の高次開発・分析技術基盤の構築」
概要
別府大学は平成27年度から3年間(平成27年10月1日~平成30年3月31日)私立大学戦略的研究基盤形成支援事業の採択を受けて上記の題で研究を行っております。
『大分県は発酵王国と称されるように、焼酎や醤油、塩麹などの多くの発酵食品産業を擁する地域特性を持っており、大小を問わず、自社商品の安全性を詳細に評価したり、機能性を分析して付加価値のある商品の開発を可能にする食品分析・研究開発を希望する地場企業は多い。しかしながら、以下の事情を抱えている。①地場企業の多くは事業規模が小さく、一部の大手メーカーを除いてはそれらの研究で必要とされる高価な分析機器を備えた企業は皆無である。②大分県には農学系の大学はなく、本学以外にはバイオ系の学部も存在しない。③公的な技術支援機関である大分県産業科学技術センターにおいても食品系の分析機器は十分とは言い難い。従って本研究は❶大分県下に設置されていない機器を導入し、産学官連携による活用で地域産業の活性化を推進することが期待できる。❷本学のみならず地域の食品産業における食品分析・研究開発のレベルの底上げが期待できる。❸高度な食品分析技術を習得した学生を養成・輩出できる。これらの効果をもたらすので、結果的に地域の食品産業の発展につながることが期待できる。』
研究担当
別府大学食物栄養科学部&大学院食物栄養科学研究科
(発酵食品学科6人、食物栄養学科3人、計9人)
アドバイザー
6社(三和酒類株式会社 三和研究所、株式会社JAフーズおおいた、藤居酒造株式会社、大分県味噌醤油工業協同組合、フンドーキン醤油株式会社、株式会社山忠)
目的
今回の提案「発酵王国大分が育む地域農水産物を活用した新規加工・発酵醸造食品の高次開発・分析技術基盤の構築」は、大分県の農水産物や香粧原料について、科学的視点から生物資源の有効利用方法を検討し、素材特性を最大限に生かしながら加工・製品化まで食品や香粧品の幅広い新規開発に取り組み、さらには他の研究機関との各種共同研究を通じて、地域や産業の活性化に寄与する研究をめざそうというものです。
本プロジェクトにおける取り組みの目的は以下の5点にしぼることができます。
目的①
「大分酵母」等、最適の新規微生物の開発:大分県にはまだない「大分酵母」等有用微生物の分離を成功させる。
目的②
発酵・醸造食品の分析法によるデータの現状把握:香りも含めた新規分析法を確立する。
目的③
新規農水産加工品・香粧製品の開発:範疇を農水産物全般及び香粧原料へと拡大し、開発に繋ぐ。
目的④
新規食品・香粧品を科学的に評価する方法の確立:免疫調節作用やアンチエイジング効果の評価法を確立する。
目的⑤
微生物汚染の早期発見と防除法の開発:特に腐敗防止のための防除は必須である。
研究計画
平成27年度
- 製造に適した優良な「大分酵母及び大分麹菌」のスクリーニング
- 発酵・醸造食品の酸度、糖度の高度な解析方法の確立:【糖及びアミノ酸分析システムの整備】
- 香気成分分析法の確立:【匂いかぎ付ガスクロ質量分析GC/MSシステムの整備】
- 発酵・醸造食品の有用性の評価法の確立(タンパク質レベルの解析):【プロテインシーケンサーの整備】
平成28年度
- 酵母等の定量的評価システムの樹立:【3レーザー細胞解析機の整備】
- 汚染微生物検出法の確立:【電気泳動・画像解析システム一式の整備】
- 香気成分の脳機能評価解析法の樹立:【光脳機能イメージングシステムの整備】
- 各解析方法を統合し、プログラム「食品解析システム」の樹立
平成29年度
本システムによる地域貢献のための環境整備を行い、企業と協働で研究・開発を推進する。