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別府駅にアート作品を制作 コロナ禍で大分の民話を再発見

別府駅にアート作品を制作 コロナ禍で大分の民話を再発見

 本学国際言語・文化学科では、2017年より「写真をとりたくなる駅プロジェクト」として、芸術表現コースの学生が別府駅にアート作品を制作しています。今年度も、昨年同様に金孝源准教授と長浜桂子講師の指導のもとに、芸術表現コース2年生が、アート作品「猫ん芝居」を製作しました。これは『大分県民話総集編』(著者:土屋北彦、発行:クリエイツ)のなかで紹介された同名の民話をテーマにしたものです。コロナ禍で自粛や遠方への旅行が出来なくなり、閉塞感のある暮らしが続いています。しかし、そんな世の中だからこそ忘れかけられていた地域の伝統や良さを再発見する機会となるのではないかという思いから、大分の民話をテーマに作品を作成しました。
 ほのぼのとした猫の民話からは、猫を可愛がる大分の人々の優しさとともに、生き生きとした猫の姿が伝わってきます。猫の活気ある姿を屏風に仕立てエネルギッシュに表現しました。束の間、別府駅を利用される方々に楽しんでいただければ幸いです。作品は12月上旬まで別府駅中央改札のエスカレータ横に展示されます。

【指導監修コメント】
 国東で長らく語り継がれてきたお話を学生の解釈をおりまぜながら、伝統的な屏風という仕掛けを施し、形にしました。おそらく今も昔も共感しあえるであろう猫の印象を、静かでありながら、大胆でエネルギッシュ、かつ愛らしく表現しました。民話と合わせてご覧いただけますと幸いです。(別府大学非常勤講師 長浜桂子)
【制作者】  
 青柳彩花、久保幸彦、近藤美羽、吉田未知(別府大学文学部国際言語・文化学科芸術表現コース2年)
【指導監修】
 長浜桂子(別府大学非常勤講師)、金 孝源(別府大学准教授)


IMG_5643.jpg【猫ん芝居 あらすじ】
 ある夜、和尚さんがお稲荷さんの近くを通りかかると、鳥居の奥からガヤガヤと声が聞こえてきました。和尚さんが鳥居の中をのぞくと、猫たちが祠の中で「忠臣蔵」の芝居をして、とても賑わっていました。なぜか蔵之助役の猫が遅れていましたがしばらくして大慌てで登場しました。それはなんと和尚さんのお寺で飼っている白猫のタマでした。舞台の上で「なぜ遅れた!」と芝居がかってたずねられたタマは、「飯が熱くて冷まして食べていたので遅くなったのです」と見事に返し和尚さんはタマの見事な芝居に感心してお寺に帰りました。 翌朝、目が覚めた和尚さんは縁側でまだ眠っているタマに、そっと「昨夜の芝居は大したものでしたよ」と声をかけると和尚さんの顔を、驚いて見つめ返したタマは、少しかなしそうな顔をしていました。その日を境に、タマは姿を消してしまいました。和尚さんはタマに話したことを後悔して、それからは誰にも猫の芝居のことは話しませんでした。

 

[投稿日:2021年10月13日]