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講演会「日本中世の雨と水-自然と文化とを繋ぐ回路を歴史のなかに探る-」を開催しました

講演会「日本中世の雨と水-自然と文化とを繋ぐ回路を歴史のなかに探る-」を開催しました

 アジア歴史文化研究所と大学院文学研究科が共催する「日本中世の雨と水-自然と文化とを繋ぐ回路を歴史のなかに探る-」を、11月3日(文化の日)に本学メディア・ホールで開催しました。参加者は本学の学部・大学院学生、教職員のほか、学外からの一般参加者を含めて60名近くに及びました。

 第1部の講演会では、講師として学外から伊藤啓介氏(京都・総合地球環境学研究所)と黒田智氏(金沢大学)をお招きし、それに本学大学院文学研究科から森脇茂秀氏が講壇に立ちました。講演者の方々からは事前に詳細なレジュメ原稿を用意いただき、予め20ページに近い講演資料の冊子を学内に配布することができました。また各講演のなかでもさらに多数の資料がスライドで提示されるなど、参加者の期待と講演者の熱意が感じられるものとなりました。講演は以下の順序でした。
 ・伊藤啓介氏 「年輪酸素同位体比を用いた過去の降水量の復元と日本中世史」
 ・黒田智氏 「水災の記憶と徴候」
 ・森脇茂秀氏 「気象のことば-「しぐれ」と「つゆ」と-」
 30~35分の制限のなかで、各講演者とも専門分野に固有の課題設定を参加者に解説する配慮をしていただき、そのうえでオリジナルな見解に踏み込んだ内容でした。
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 第1部講演後、コーヒー・ブレイクの時間を持ち、主催者で淹れたてのコーヒーと紅茶、ビスケット・煎餅・キャンディーなどを用意し、隣接する広場に椅子・テーブルを設けました。講演者と参加者が飲み物を手に交流・歓談する場面がみられ、その輪に加わる熱心な学生たちもいて、それぞれに交流を深めました。

 続いて、第2部討論と意見交換となりました。まず、伊藤啓介氏から気候変動のグラフと中世の古文書・古記録とを突き合わせる、具体的な方法と事例について、追加のお話をいただいたあと、報告者・参加者が同じフロアで意見交換を行ないました。会場の討論会に参加したのはほぼ20名でした。学部学生がほとんど残らなかったは残念でしたが、大学院学生と教員が多く参加しました。中世の伝承や言葉の問題、それらと自然科学のデータをどのように理解するかをめぐって、親密な雰囲気の中で踏み込んだ意見がかわされました。終了時間になっても、参加者の興味は尽きないようでした。

 20161103_52.jpgのサムネイル画像当日ばかりか講演準備に時間を割いていただいた講演者の方々にお礼申し上げます。また、会の運営には大学院文学研究科日本語・日本文学専攻と歴史学専攻の学生諸君が尽力してくれました。主催者が設定した主題に予想したよりも多くの方々に関心をお持ちいただき、休日にもかかわらず会場までお運びいただき、感謝申し上げます。

(報告:アジア文化研究所長 田村憲美)



 










 

 

 

 

[投稿日:2016年11月11日]