【私立大学研究ブランディング事業】「文化財の修復と文化財科学の世界」を開催いたしました。
1月26日~2月15日まで、別府大学18号館ギャラリーホールにおいて「文化財の修復と文化財科学の世界」の展覧会を開催しました。展覧会では、出土金属製品の保存修復と自然科学的調査についてパネルによる展示を行いました。展示内容は、福岡市元岡G古墳群6号墳出土「庚寅銘金象嵌大刀」の現状の複製(レプリカ)および復元模造品、レプリカ作製のための型取り用品一式、上月隈遺跡出土銅剣復元模造品、あわせて別府大学で取り組んでいる3D計測による青銅製品鋳型からの青銅製品本体の復元方法と立体プリントを展示し、保存修復と最先端技術の可能性についての展示でした。
また、本展示会に合わせ、1月26日の初日に講演会「文化財の修復と文化財科学の世界」を別府大学メディアホールにて開催いたしました。講演会は別府大学創立110周年記念とブランディング事業をかねたもので、東北芸術工科大学・文化財保存修復研究センター長澤田正昭先生をお招きし、基調講演『文化財の活用と保存科学』をしていただきました。続いて九州歴史資料館加藤和歳氏に『X線CTスキャナを利用した発掘調査・公開活用の新技術』、福岡市埋蔵文化財センター比佐陽一郎氏に『文化財の保存修復における二次資料の活用』と題してお話しいただきました。
澤田先生の記念講演では、文化財修理の歴史や平成31年4月に改正される文化財保護による観光を意識した文化財活用のあり方、海外の文化財の保存修復や現地の人々への研修活動(技術移転や寺子屋運動)や劣化の問題など、多岐にわたる内容でありました。つづく加藤和歳氏は、X線CTスキャナを活用した発掘調査の一例として、福岡県古賀市に所在する船原古墳の調査の概要と遺物の取り上げについてご講演いただき、これまでの発掘調査法と全く異なる3D計測による平面情報の記録と土塊状態での遺物の取り上げ、さらにX線CT画像による3次元情報の可視化と情報の活用(3DプントやCG)など、まさに文化財科学の最先端についての内容でありました。最後に発表していただいた比佐陽一郎氏より、文化財情報としてのアナログ的二次資料の役割と製作方法についてご講演をいただいた。昨今のデジタル技術の発展にはめざましいものがあり、博物館等での二次資料制作に占める活用の割合は年々増加している。しかし、十分な位置づけと認識がなされているとは言えず認識の共有が今後の課題であること、また立体的二次資料の定義(複製・模造・模型)について分かり易くお話しいただきました。
添付ファイル
- 講演会ポスター.pdf[PDF:469.3 KB]
[投稿日:2019年1月30日]