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企画展「森の人 賀川光夫先生の世界」

企画展「森の人 賀川光夫先生の世界」

morinohito.jpg「森の人 賀川光夫先生の世界」と題して、写真や先生が残された絵日記の絵巻物2巻および記録ノートの一部を展示します。先生は学者・教育者であるとともに画人であり、詩人、文筆家でもありました。多くの絵を残し、時に詩や歌を詠み、思いを書き留めました。
 今回、先生の生誕百年を機会に、あらためて先生の学問の姿勢と人柄をたどり、次世代に受け継ぐことが、先生がわれわれの中で生き続けことになります。なぜ「森の人」と銘打ったのかといいますとこの言葉が先生の学問の姿勢、真髄を表すと考えたからです。先生は、別府大学の森をこよなく愛していました。この森は、イギリスの詩人ブランデンが褒めた森であり、先生は校門からこの森を抜け、はじめて佐藤義詮学長に面会しました。その日、「この大学の森の奥に何かがある」と確信し、別府大学とともに生きる決心をしたそうです。
 1999年3月12日、先生は亡くなる2年前の朝日新聞に「消える日本の原郷 どんぐり山と棚田」という記事を載せています。「大分県速見郡日出町山田のムラに「水口神社」がある。そこはドングリ山の湧水点で、ここから別府にいたるまで見事な棚田が広がる。日本の原風景と、農業の原風景が水口神社の境に同時に見られる。このまれにみる日本の原郷が日ごとに開発で失われてゆく姿をみると残念でたまらない」と。
 先生の原点は縄文の森と縄文農耕論です。その研究は縄文時代を越え、安国寺遺跡、虚空蔵寺跡、臼杵の磨崖仏、大石遺跡、聖嶽をはじめとする洞窟遺跡、そして九州各地の発掘と保存にかかわりました。さらに、その研究の意欲は、中国、アジアの遺跡調査にも広がりました。常に「森」の原点を忘れず、開発で失われゆく森の原風景に思いを馳せ、心を痛めていました。文化財保存への思想は縄文の照葉樹林の森への思いが原点にありました。
 展示会場は賀川先生の研究室があった18号館(旧附属博物館)を建て替え、2017年に佐藤義詮記念館として新築した校舎です。旧18号館が新築されたとき、先生は「松林に我が城そびえ春うらら」と謳った。今、新18号館で賀川先生の魂は再び蘇ります。われわれはその熱き魂、やさしい心根を受け継ぎたいものです。

企画展「森の人 賀川光夫先生の世界」<23.01.23展示を再開いたしました>
会場:別府大学佐藤義詮記念館(
18号館)2階ギャラリーホール
会期:2022年12月17日(土)~3月10日(金)
開館時間:平日 9:00~17:00、土曜9:00~12:00
お問い合わせ先:別府大学歴史文化総合センター TEL0977-27-6116
※入場無料
※日・祝、12月29日(木)~1月3日(火)は休館。また学内行事などにより休館する場合もあります。


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[投稿日:2023年1月 4日]