国際文化論 2021年度 別府大学公開講座「学問の多様性」第5回
2021.10.19
流行り病と戦国武将・加藤清正−清正の虎退治伝承をめぐって−
- 講 師
- 文学部 史学・文化財学科 准教授 福西 大輔
戦国武将・加藤清正が朝鮮半島で虎退治した話は何故広まり、後世に伝わったのか検討した。
日本人は古くから朝鮮や中国を通じて虎を知り、イメージとしての虎があった。虎は力強い特別な存在であり、退治した者は英雄となり、権威の象徴となった。幕末になると虎はコレラの隠喩となり、虎退治は病平癒などを示した。日露戦争以降、虎は朝鮮を表象し、虎退治は日本の大陸進出をイメージさせた。同じ伝承でも時代により、捉え方が異なる例の一つである。