別府市における入浴中の救急搬送を分析―地域特性と高齢者の安全対策を探る
2024年10月29日から31日にかけて札幌コンベンションセンター(札幌市白石区)で開催された「第83回日本公衆衛生学会総会」において、本学大学院生の多川優也さん(大学院食物栄養学研究科1年)がポスターセッション参加し、「別府市内で発生した入浴中の救急搬送数の分析」を発表しました。
この研究では、大分県別府市における入浴関連の救急搬送データをもとに、大分県別府市における入浴中の救急搬送に焦点を当てたものです。温泉文化が根付く地域特性を背景に、2018年から2022年のデータを基に搬送件数と気象条件の相関を分析し、高齢者の安全確保に向けた課題と対策を検討しました。
調査の結果、先行研究と同様に別府市でも冬季に搬送が増加する傾向や70代、80代の搬送件数が多いことが明らかになり、別府市の特徴として自宅の浴室より公衆浴場での搬送件数が多いという地域特性も示されました。さらにアンケート調査では飲酒後の入浴や、滑りやすい床のリスクが指摘され、観光客の利用時の注意喚起の必要性も浮き彫りになりました。セッションに参加した研究者からは、地域特性を活かした独自性の高い研究と評価されました。
多川さんは、「前回の調査では詳しく調べれなかった全年代別の特徴や今後の搬送データを元に、引き続き追跡調査を行う予定です。さらに、群馬湯宿温泉など湯治文化が残る地域でも搬送事例を調査し、温泉入浴をより安全に楽しめる方法を模索したいと考えています」と、継続研究への意欲を語ってくれました。
ポスター発表タイトル
別府市内で発生した入浴中の緊急搬送数の分析
~入浴中の体調不良につながるファクターの探求~
多川 優也(別府大学大学院 食物栄養科学研究科)
阿部しず代(長崎大学 熱帯医学・グローバルヘルス研究科)
長田瑞花(別府大学食物栄養科学部 発酵食品学科)
吉田小春(別府大学食物栄養科学部 発酵食品学科)
加藤礼識(茨城キリスト教大学 生活科学科 食物健康科学科 講師)
研究協力/城 百花(別府大学 文学部 国際言語・文化学科)
※本研究は、大分県温泉調査研究会の助成金により実施されました。
研究については「大分県温泉調査研究会報告 第75号(令和6年8月)」に掲載されています。
https://www.pref.oita.jp/uploaded/attachment/2223680.pdf
[投稿日:2024年12月18日]